大腸癌 V308

FOLFIRI followed by FOLFOX6 or the reverse sequence in advanced colorectal cancer: a randomized GERCOR study

Tournigand C, André T, Achille E, et al. J Clin Oncol. 2004 Jan 15;22(2):229-37. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
大腸癌 一次/二次治療 第3相 無増悪生存期間 国際 なし

試験名 :V308

レジメン:FOLFOX6→FOLFIRI vs FOLFIRI→FOLFOX6

登録期間:1997年12月〜1999年9月

背景

過去40年以上、切除不能進行再発大腸癌に対する初回治療として5-FU以上に有効な薬剤はなく、ロイコボリン(LV)との併用療法が生存期間延長を示さなかったものの標準治療とされていた。LVFU2(急速静注+持続静注/2週毎)がLV+FU(急速静注)と比較して安全性と有効性で優れることが示された。さらに、LVFU2レジメンはLVと急速静注5-FUをday1に投与後、高用量5-FUを持続静注することで毒性を増やさずに効果を維持して簡便化できることが示された。イリノテカンとオキサリプラチンは単独投与でも、5-FU/LVとの併用療法でも有用性が示された。 5-FUを含む1次治療が不応となった場合、イリノテカン単剤療法はbest supportive careや5-FU/LV単独療法より全生存期間を延長することが第3相試験で示され、さらに1次治療としてイリノテカンと5-FU/LVの急速静注、および急速静注+持続静注の併用療法が5-FU/LV単独療法と比較して有意に全生存期間を改善することが第3相試験(0038、V303)で示された。一方、オキサリプラチンもLVFU2との併用療法(FOLFOX4)がLVFU2療法と比較して無増悪生存期間を延長することが第III相試験(EFC4584)で、また急速静注5-FU/LV+イリノテカン(IFL)療法と比較して無増悪期間を延長することが第3相試験(N9741)で示された。
簡便化したLVFU2レジメンを用いたFOLFOX6とFOLFIRIが2次治療として用いられていることから、これら有効な2つのレジメンを比較し、また最適なシークエンスを明らかにする目的に、「Arm A: FOLFIRI→FOLFOX6逐次療法」と「Arm B: FOLFOX6→FOLFIRI逐次療法」を比較する第3相試験(GERCOR)が実施された。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:無増悪生存期間(無作為化から2次治療までの無増悪生存期間)

15ヶ月時点の無増悪生存割合がArm B (FOLFOX→FOLFIRI)群 40%に対してArm A (FOLFIRI→FOLFOX)群 60%となることを検証(両側α=0.05、検出力=80%)、必要症例数は各群109例、イベント数は各群49。

試験結果:

  • 1997年12月〜1999年9月の間に42施設より226例が登録された(各群113例)。
  • 患者背景に大きな隔たりはなかったが、男性の割合と65歳より高齢の割合がArm B群に多かった。
  • 6例は不適格で治療が実施されなかったため、解析対象外となった(Arm A群 4例、Arm B群 2例)。
  • データカットオフは無増悪生存期間が2001年3月31日、全生存期間が2002年8月30日。観察期間中央値は43.9ヶ月。
1. 2次治療までの無増悪生存期間(主要評価項目)
中央値 95%信頼区間 P 15ヶ月無増悪生存割合
Arm A: FOLFIRI→FOLFOX 14.2ヶ月 12.0-16.9 0.64 47.2%
Arm B: FOLFOX→FOLFIRI 10.9ヶ月 9.0-14.6 37.3%
2. 全生存期間
中央値 範囲 P = 0.99
Arm A: FOLFIRI→FOLFOX 21.5ヶ月 16.9-25.2
Arm B: FOLFOX→FOLFIRI 20.6ヶ月 17.7-24.6
3. 1次治療の無増悪生存期間
中央値 95%信頼区間 P = 0.26
Arm A: FOLFIRI 8.5ヶ月 7.0-9.5
Arm B: FOLFOX 8.0ヶ月 6.2-9.4
4. 2次治療の無増悪生存期間
中央値 範囲 P = 0.003
Arm A: FOLFIRI 4.2ヶ月 3.7-5.2
Arm B: FOLFOX 2.5ヶ月 2.1-3.3
5. 腫瘍縮小効果
一次治療 二次治療
Arm A
FOLFIRI
(n=109)
Arm B
FOLFOX6
(n=111)
Arm A
FOLFOX6
(n=81)
Arm B
FOLFIRI
(n=69)
全奏効 61 (56%) 59 (54%) 12 (15%) 3 (4%)
完全奏効 3 (3%) 5 (5%) 0 (0%) 0 (0%)
部分奏効 58 (53%) 54 (49%) 12 (15%) 3 (4%)
安定 25 (23%) 30 (27%) 39 (48%) 21 (30%)
進行 15 (14%) 14 (13%) 15 (19%) 35 (51%)
評価困難 8 (7%) 8 (7%) 15 (19%) 10 (14%)
6. 有害事象(%)
Arm A 一次治療
FOLFIRI (n=110)
Arm B 一次治療
FOLFOX (n=110)
P (Grade3/4)
 
Grade 1 2 3 4 1 2 3 4
好中球減少 19 33 15 9 18 20 31 13 0.003
血小板減少 15 1 0 0 57 21 5 0 0.01
貧血 27 12 2 1 39 12 3 0 NS
発熱性好中球減少 - 0 4 3 - 1 0 0 0.007
食思不振 29 30 13 0 39 25 3 0 0.005
嘔吐 17 23 8 2 22 17 3 0 0.027
下痢 26 23 9 5 28 13 9 2 NS
粘膜炎 26 15 10 0 35 10 1 0 0.003
皮膚障害 18 5 2 0 17 5 2 0 NS
脱毛症 36 24 - - 19 9 - - 0.003*
神経障害 10 0 0 - 26 37 34 - <0.001
倦怠感 15 27 4 - 17 15 3 0 0.028**

NS: 有意差なし *Grade 2,**Grade2/3

Arm A 二次治療
FOLFOX (n=82)
Arm B 二次治療
FOLFIRI (n=68)
P (Grade3/4)
 
Grade 1 2 3 4 1 2 3 4
好中球減少 17 24 15 2 21 18 21 0 NS
血小板減少 59 9 0 1 34 4 0 0 NS
貧血 35 9 2 1 49 13 3 0 NS
発熱性好中球減少 0 0 0 0 0 0 1 0 NS
食思不振 37 21 6 0 26 21 0 0 0.03
嘔吐 17 17 4 1 16 16 3 0 NS
下痢 22 7 4 1 29 16 7 1 NS
粘膜炎 24 10 4 0 15 7 3 0 NS
皮膚障害 21 2 1 0 12 1 0 0 NS
脱毛症 13 9 - - 26 13 - - NS
神経障害 45 29 20 0 1 0 1 0 <0.001
倦怠感 9 22 5 0 12 21 1 0 NS

NS: 有意差なし

7. 相対用量強度(Relative dose intensity:RDI)
用量強度
イリノテカン 一次治療 85.9%
イリノテカン 二次治療 87.3%
オキサリプラチン 一次治療 84.7%
オキサリプラチン 二次治療 90.1%
8. 60日以内の早期死亡割合
Arm A Arm B
一次治療 FOLFIRI
4%
FOLFOX
3%
二次治療 FOLFOX
4%
FOLFIRI
3%
結語
切除不能進行再発大腸癌に対する初回治療として、 「FOLFIRI→FOLFOX逐次療法」と「FOLFOX→FOLFIRI逐次療法」は、同程度の良好な成績が得られ、全生存期間の中央値が20ヶ月を超えた。また有害事象は忍容可能で、60日以内の早期死亡割合にも差は認められなかった。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 瀧浪 将貴先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎先生

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