肝細胞癌 REACH-2

Ramucirumab after sorafenib in patients with advanced hepatocellular carcinoma and increased α-fetoprotein concentration(REACH-2): a randomized, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial.

Zhu AX, Kang YK, Yen CJ, et al. Lancet Oncol 2019 ;20:282-96 [PubMed]

対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
肝細胞癌 二次治療 第3相 全生存期間 国際 あり

試験名 :REACH-2

レジメン:ラムシルマブ vs プラセボ

登録期間:2015年7月〜2018年3月

背景

ラムシルマブは、VEGFR2を抑制するIgG1モノクローナル抗体である。肝細胞癌二次薬物療法としてソラフェニブ不応例に対して行われたREACH試験(ラムシルマブ vs. BSC)では、優越性が検証されなかったが、AFP 400 ng/ml以上の群では、ハザード比 0.674 (95% CI 0.508-0.895; P=0.006) と有意に良好であった。そのため、新たにAFP 400 ng/ml以上、ソラフェニブ不応、不耐例に対して、第3相試験が計画された。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間

主要評価項目として全生存期間を設定した。ラムシルマブ群の生存期間中央値6.7か月、プラセボ群4.5か月、ハザード比0.67を仮定した。片側α 0.025、検出力80%として221イベント、578例の登録を予定した。当初、399例登録の時点で、中間解析を予定したが、2017年4月、中間解析予定を中止し、最終解析のみを行う方針とした。

試験結果:

  • 2015年7月から2017年8月に、20ヵ国92施設から292例が登録された。
  • データカットオフは2018年3月、観察期間中央値7.6ヶ月、221イベントの時点で行われた。
  • 患者背景に大きな隔たりは認めなかった。
1. 全生存期間(主要評価項目)
  中央値 95%信頼区間
ラムシルマブ(n=197) 8.5ヶ月 7.0-10.6
プラセボ(n=95) 7.3ヶ月 5.4-9.1
HR 0.710 (95%C.I. 0.531-0.949)
P = 0.0199
2. 無増悪生存期間
  中央値 95%信頼区間
ラムシルマブ(n=197) 2.8ヶ月 2.8-4.1
プラセボ(n=95) 1.6ヶ月 1.5-2.7
HR 0.452 (95%C.I. 0.339-0603)
P<0.0001
3. 有害事象(CTEAE ver.4.0)
  ラムシルマブ(n=197) プラセボ(n=95)
  全Grade Grade 3 Grade 4 全Grade Grade 3以上 Grade 4
疲労 24% 4% NA 14% 3% NA
浮腫 24% 2% 0 14% 0 0
食欲不振 22% 2% 0 19% 1% 0
腹痛 18% 2% NA 11% 2% NA
嘔気 19% 0 0 12% 0 NA
下痢 16% 0 0 14% 1% 0
結語
ラムシルマブは、ソラフェニブ不応・不耐の二次治療としてAFP 400 ng/ml≧の症例を対象としたプラセボ対照第3相試験において、全生存期間を有意に延長することを示した。
執筆:千葉大学病院 臨床試験部 特任助教 小笠原 定久 先生
監修:神奈川県立がんセンター 消化器内科(肝胆膵) 部長 上野 誠 先生

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