ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2020

Abstract O-21 大腸癌


METABEAM Study: combined analysis of concordance studies between liquid and tissue biopsies for RAS mutations in colorectal cancer patients with single metastatic sites

First Author : Yoshinori Kagawa ,et al.

METABEAM試験:単一臓器転移を有する大腸癌患者におけるRAS 遺伝子変異の血液と組織間での一致を検討する統合解析

背景

 大腸癌患者の血漿中の循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いてRAS遺伝子変異を検査する、BEAMing法を用いたDigital PCRとフローサイトメトリーを融合した遺伝子解析手法(OncoBEAM)の「OncoBEAM™ RAS CRC kit」は、すでに日本や欧州において臨床用の体外診断薬として承認されている。これまでの日本とスペインからの報告では腫瘍組織を用いた検査とのRAS遺伝子変異の一致率は86.4%-93.3%とされている1-4)。一方で血漿と腫瘍組織の結果の一致率は肺転移のみの場合に低くなり、日本からの報告では64.5%3)、スペインからの報告では56.3%4)だった。本研究では日本とスペインの試験における患者個別データを統合解析し、単一臓器転移(肝、腹膜、肺)のみを有する大腸癌症例を対象に、血漿と腫瘍組織におけるRAS遺伝子変異の一致に関連する臨床的特徴を検討し、転移臓器ごとに一致率が90%以上を維持できるカットオフ値を明らかにすることを目的とした。

対象と方法

 すでに結果が報告されている「OncoBEAM™ RAS CRC kit」を用いた日本人大腸癌のデータとスペイン人大腸癌のデータを統合解析した。肝臓、腹膜、肺のいずれかのみに転移を有する大腸癌患者で、化学療法未施行または一次治療後にPDとなり二次治療は未施行、抗EGFR抗体薬またはレゴラフェニブは未投与、血液検体採取前の外科的切除が未施行の症例を適格とし、ベースラインの腫瘍最大径または個数が不明だった症例と血液検体採取とCT撮像の期間が3ヶ月以上空いていた症例を除外し解析を行った。

結果

 日本人280例、スペイン人382例のうち適格症例は264例であり、ベースラインの腫瘍最大径または個数が不明だった15例と血液検体採取とCT撮像の期間が3ヶ月以上空いていた25例を除く計224例を解析対象とした。転移臓器ごとの内訳は肝転移群が154例、腹膜転移群が25例、肺転移群が45例だった。

 患者背景は表1の通りであり、原発部位(右側/左側)、腫瘍組織と血液検体採取時期の間隔、腫瘍最大径が3群間で有意差を認めた。

表1. 患者背景

Abstract O-21
(発表者の許可を得て掲載)

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