ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2020

Abstract LBA-4 胃癌


Updated analysis of DELIVER trial (JACCRO GC-08): A large observational/translational study of nivolumab treatment in advanced gastric cancer

First Author : Yu Sunakawa, et al.

DELIVER試験(JACCRO GC-08)の最新解析結果:進行胃癌に対するニボルマブ単剤療法の大規模観察/TR研究

背景

 ニボルマブは、前治療歴を有する進行胃がん/胃食道接合部がんに対する第3相試験(ATTRACTION-2)で、プラセボに対し有意な生存延長と良好な忍容性が示されている1)。さらに、ニボルマブの生存延長効果はPR以上を得られた患者で顕著であったばかりでなく、SDの患者においても生存期間が延長していたことも示された2)。しかしながら、実臨床下におけるニボルマブの有効性や安全性のデータ、特にPS2症例や高度腹膜播種または腹水症例の大規模なデータはほとんどないのが現状である。さらに、ニボルマブ治療後に一部の患者で経験される腫瘍の急速な増大(hyper-progressive disease(HPD))についても詳細は不明である。
 本試験(DELIVER試験:UMIN000030850)は進行性胃癌に対する実臨床下におけるニボルマブの有効性と安全性を評価するとともに、腸内細菌叢の解析などを行うことで新しい宿主関連の免疫バイオマーカーを探索することを目的に行われた。
 ESMO2019においては臨床効果に関する解析結果の中間報告がなされたが、今回は臨床効果に関する解析結果のupdateと安全性に関する解析結果が報告された。

対象と方法

 ニボルマブ単剤療法を受ける予定(治療ラインを問わない)の進行胃癌患者(PS 0-2)を対象とし、臨床情報および治療経過の収集と治療前後に採取した便検体および血液検体の収集をおこなった。
 主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は、奏効割合(RR)、病勢制御割合(DCR)、腫瘍増大率(TGR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性である。またバイオマーカー解析として、便検体と血液検体を用いた腸内細菌叢、遺伝子多型、遺伝子発現、血中代謝産物の解析が行われている。
 有効性および安全性の解析は1コース以上の治療が行われた患者が対象とされた。腫瘍評価はRECIST v1.1が用いられ、HPDの評価では登録前、ニボルマブ治療開始直前、増大時の画像をもとに腫瘍増大に関する指標が解析された。

結果

 2018年3月から2019年8月までに67施設から501例が登録され、2020年2月まで追跡された。評価可能な患者は487例、測定可能病変を有する患者は282例、HPDが評価可能な患者は219例だった。

患者背景

 評価可能であった患者487例の患者背景は、年齢中央値70歳、男性71%、PS 0/1/2が42%/44%/14%、HER2陽性21%、組織型はtub/por/sig/unknownが45%/41%/5%、進行/再発が63%/37%、腹水有42%、腹膜播種有47%、胃切除歴有50%、前治療ライン数1/2/≥3が2%/39%/59%、前治療レジメンのタキサン/ラムシルマブ/イリノテカンが93%, 83%/10%だった(表1)。

表1. 患者背景

Abstract LBA-4
(発表者の許可を得て掲載)

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